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医療保険

医療保険に関して、以下項目を解説しています。
・医療保険の種類
・医療保険による診療
・医療保険を使用する上での注意事項

医療保険の種類

交通事故の場合でも、その事故にあった人が加入している医療保険が使えます。
また、加入している人の家族も対象です。
具体的には、以下の医療保険があります。
・健康保険:会社員
・船員保険:船員
・共済組合:国家公務員、地方公務員、私学の教職員
・国民健康保険:自営業者や上記以外の者
備考)
労働者の業務上、又は、通勤中の事故の場合は労災保険の対象となり、医療保険は使えません。

医療保険による診療

『交通事故による人身事故の治療は、緊急に処置しなければならず、かつ、受傷の複雑性から高度な治療を必要とするということを理由に、保険診療になじまない』という考えが医療関係者に根強くあるようです。
しかし、交通事故による受傷の場合でも、医療保険を使うことができます。
これは、厚生労働省の国民健康保険課長通知によっても公表されています。

医療保険を使うメリット

医療保険を使うメリットとして、以下事項があります。
・病院の窓口での自己負担が一定(一般は3割)
・診療報酬の点数単価が自由診療より低額
(自由診療で点数単価が保険診療より高い場合は、示談・裁判等で否定される恐れがある)
・治療費の出費を抑えて、自賠責保険の限度額を有効活用できる
(傷害による損害の限度額は120万円で、その中から治療費・休業損害・慰謝料が支払われるため。また、自賠責保険では、被害者の過失が7割未満の場合は減額されないため。)

医療保険を使うデメリット

医療保険を使うデメリットとして、以下事項があります。
・保険者に”第三者行為による傷病届”を提出する手間が増える
・上記傷病届の添付資料「誓約書」は、加害者の署名・押印が必要
・保険診療を拒否する病院がある
備考)
”第三者行為による傷病届”については、左記メニュー「第三者行為による傷病届」を参照下さい。

医療保険を使用する上での注意事項

交通事故による受傷の場合でも、医療保険を使うことができますが、保険診療を拒否する病院もあるようです。
また、保険診療を受けられたとしても、「損害賠償額算定基準」(赤い本)では、以下の注意事項が記載されています。
【「損害賠償額算定基準」(赤い本)の注意事項】
『交通事故の場合でも健康保険証を呈示することにより、健康保険制度を利用することができる。なお、この場合には、自賠責の定型用紙による診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書を書いて貰えないことがあるので、事前に病院と相談されたい。』

保険診療拒否及び診断書拒否の対応

医師には原則として、医師法 第19条により、治療及び診断書等の記載が義務付られています。
【医師法 第19条の条文】
第19条 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
2 診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。
《解説》
上記条文中の『正当な事由』とは、民法においては”天災などの不可抗力による場合”とされています。医師法の場合では、天災以外の場合として、高度な治療を必要とするなどの理由が考えられます。
よって、病院と裁判にて争う事も考えられますが、裁判所から診断書の記載を命令してもらっても、医師がそれを拒否した場合は診断書の記載を強制することは困難です。
また、交通事故の加害者との示談交渉や訴訟になる場合も考えると、病院とのトラブルは避けた方が賢明だと思います。
【結論】
交通事故で入院した場合、又は、通院する場合は、早めに以下の事項を確認し、拒否する病院の場合は、別の病院に移る事をお勧めします。
・保険診療が可能か?
・自賠責の定型用紙による診断書等に記入してもらえるか?

 
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